新型コロナウイルスの感染拡大を受け、殺菌・消毒効果のある「次亜塩素酸水」に注目が集まっている。幅広い細菌やウイルスを不活化するとされる一方、微酸性や弱酸性のものは人体への影響も少なく、厚生労働省が食品添加物に指定。アルコール消毒液の品薄状態が続く中、自治体や民間施設でも活用が広がり、経済産業省が新型コロナへの有効性を検証している。(山本考志)
食品への使用も可能
次亜塩素酸水は塩酸や食塩を水と電気分解して得られる水溶液。生成装置を製造する森永乳業では、新型コロナの感染が国内で拡大した今年3月以降、注文が相次いでいる。
主力製品の業務用小型機「ピュアスター ミュークリーンツー」の売り上げは4月に例年の3・5倍まで増加。従来の顧客だった飲食店や食品加工業者に加え、自治体や保育施設などからの注文が増えているという。
同社は希塩酸と水を電気分解することで微酸性の次亜塩素酸水を生成する装置を平成7年に開発し、特許を取得。当初は自社の生産拠点で活用していたが、8年からは販売も始めた。
微酸性の次亜塩素酸水は塩素系漂白剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムよりも人体への影響が少なく、厚労省は食材などの洗浄に使う食品添加物に指定し、「次亜塩素酸ナトリウムなどと同等以上の殺菌効果」と評価している。
同社は生成した次亜塩素酸水を食材や調理器具などに流しかける使用方法を推奨しており、担当者は「手指や身の回りの製品を洗浄する際は、汚れを落としてから次亜塩素酸水を流しかけるようにすると効果が得やすい」と説明する。
手指には使用法注意を
新型コロナの感染拡大でアルコール消毒液の品薄状態が続く中、さまざまな場面で次亜塩素酸水の活用が広がっている。国内では多数の自治体が生成装置を購入するなどして住民に配布するほか、劇場やテーマパークなどの演出装置を手掛けるシーナリーセント(大阪市)でも、香料の噴霧器を使って会場に散布する利用方法を検討している。