露軍の電子・サイバー戦の一体的展開が判明 無線遮断し偽メールで誘導、火力制圧





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 宇宙・サイバー・電磁波という防衛上の「新たな領域」をめぐる最先端の軍事的脅威が10日、明らかになった。2014年から続くウクライナへのロシアの軍事介入で、ロシア軍は「電子戦」「サイバー戦」を一体化させた世界初の作戦を展開。ウクライナ軍の無線通信を電子戦による電波妨害で遮断し、サイバー戦により携帯電話網を通じ虚偽指令をウクライナ軍兵士にメールで送信して誘導した上で、火砲などの攻撃を連動させていることが鮮明になった。

 中国がロシアと同様の作戦を行う能力を備えることにも防衛省・自衛隊は警戒を強めている。対処力を強化するため、陸上自衛隊は新型電子戦装備の運用に向けて始動した。

 ウクライナへのロシアの軍事介入についてはこれまで、電子戦によりウクライナ軍の無線通信や衛星利用測位システム(GPS)の利用を妨害しているとの指摘があったが、電子戦とサイバー戦の一体化に関する総合的な分析はなかった。

 ロシア軍はウクライナ軍の無線通信の利用を電子戦で妨げた上で、司令部などとの連絡に携帯電話を使わざるを得なくなったウクライナ軍兵士の携帯にメールなどで展開拠点を変更させる虚偽指令を送信。虚偽指令を信じ、ある地点に誘導された兵士を待ち伏せするように火砲などで集中的に攻撃を加えていた。

 ロシアのウクライナへの軍事介入は日本政府が一昨年に「防衛計画の大綱」を改定する要因になり、中国軍も実戦的な能力を向上させている。両軍の電子戦を任務とする航空機は日本周辺で電波情報の収集も行っている。

 こうした脅威を受け、陸自は今年度末から運用を始める新型電子戦装備「ネットワーク電子戦システム」の導入に着手した。運用する隊員の教育も7月から始める。

 車載式のネットワーク電子戦システムは指揮統制や電波の収集・妨害を担う5種類の装備がある。既存のシステムに比べ対応できる電波の周波数の範囲が広がったのが特徴で、各国が軍事用に利用する周波数を網羅する。

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