新型コロナウイルスへの対策として、法務省が一部の刑務所や拘置所での収容者との面会を弁護士だけに限ったところ、各地の弁護士会などが反発。「家族との相談機会を奪われ、収容者の不利益につながる」として改善を求めている。これに対し、法務省側は「やむを得ない措置」と理解を求めており、対応は今月末まで継続するという。(桑村朋)
政府の緊急事態宣言を受け法務省は当初、発令対象となった7都府県にある38施設の収容者と面会を原則弁護士だけに制限。その後、宣言の対象地域拡大を受け、面会制限の対象を特定警戒都道府県(13都道府県)の71施設に広げた。当初は今月6日までとしていたが、宣言の延長に伴い、対応は今月末まで続けるという。
法務省はこのほか、新たな収容者を14日間単独室に隔離し、検温を毎日2回行うなどの感染防止ガイドラインも打ち出している。
いずれの措置も感染拡大が続く新型コロナ対策の一環だ。しかし、家族らを含めた一般面会の一律禁止には疑問の声も上がる。
「家族や職場の人と、裁判方針や今後の仕事を相談したい人は多い」と指摘するのは、日本弁護士連合会刑事弁護センター事務局長の菅野(すげの)亮弁護士。「とにかく負担が大き過ぎる。十分な対策を取った上で一部の面会は許可してほしい」とし、柔軟な対応を求める。
各地の弁護士会も法務省に改善を要望。大阪弁護士会は面会制限の見直しに加え、1人1室での処遇や刑務官との接近を減らすことなどを申し入れた。
こうした中、法的措置に踏み切る収容者も出てきた。