新型コロナウイルスの感染拡大に備え、医療現場で活用してもらおうと、大阪市は11日、防護服の代替品として市民から寄付を募った「雨がっぱ」の市内医療機関への配布を始めた。医療物資の不足を受け、松井一郎市長の呼びかけに応じ、集まった雨がっぱは約30万着。配布初日には14病院が市役所を訪れ、計6400着を持ち帰った。
同市中央区の高津病院はこの日、500着の雨がっぱを受け取った。同病院では新型コロナ感染者は受け入れていないが、担当者は「外来診療時には感染疑いの人もいるので防護服は必須だが、いまは入手が難しい。コロナが長期化すると備蓄に余裕がなくなる」と説明。これまで防護服を節約するために看護師らが雨がっぱを購入していたといい、「市民の善意で寄付をいただけるのはありがたい」と話した。
松井氏は11日、「医療崩壊を避けようと、大きな支援の輪を広げていただいた。無駄に消費することなく大切に活用したい」と述べた。
市は先月末、市内全176病院に雨がっぱの利用希望を調査。119病院から回答があり、うち105病院が配布を希望した。
市は今後、新型コロナの軽症患者が療養するホテルなどへの配布も検討するという。
雨がっぱをめぐっては、厚生労働省も防護服の代替品としての利用を認めたことから全国に同様の動きが広まり、現在も滋賀県や富山県などが寄付を募っている。