公明党は約2年ぶりとなる党憲法調査会を26日に開く。今国会初となる28日の衆院憲法審査会を前に、野党が求める国民投票時のCM規制について考え方を整理する。ただ、党内には憲法改正に対する慎重論が根強く、具体的な改憲項目に関する議論が始まる機運は生まれていない。
「CM規制の問題は野党からも法案が提出されている。党としてどう考えるか方向性を議論したい」
党憲法調査会長を務める北側一雄副代表は21日の記者会見で、党内議論の再開に意欲を示した。
国民投票は、投票日の14日前からテレビとラジオのCMを禁じる一方、急成長するインターネット広告に関する規定はない。立憲民主など野党はこうした問題を憲法審で取り上げるよう要求しており、CM規制に関する公明の方針を固めて論戦に臨む構えだ。
一方、本丸といえる憲法改正の党内議論が本格化する兆しはない。自民党が掲げる自衛隊の9条明記にはもともと強い拒否反応を示している。緊急時に国が国民の権利を制約して対応に当たる緊急事態条項の創設にも「法改正で対応できる」(北側氏)と慎重だ。
わずかに議論の余地がありそうなのが、憲法で定められた国会の定足数や国会議員の任期に関する憲法改正。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国会の機能をどう維持していくのかが現実的な問題として急浮上し、北側氏も「議論の必要がある」と前向きだ。
憲法記念日の3日に発表した党声明にも、「緊急時にこそ国会は立法府としての役割を果たす必要がある」と明記。自民党の憲法審メンバーは「公明内で改憲議論が始まれば風向きが変わる」と期待を寄せる。
とはいえ、山口那津男代表は国会議員の任期に関して「いきなり憲法と絡めるのは飛躍している」と慎重姿勢を崩さない。憲法には緊急時に参院が国会の機能を担う「参院の緊急集会」が規定されており、まずはこの機能の議論を深めるべきだというのが持論だ。
公明関係者は「代表のゴーサインなしに議論が本格化することはない」と語り、北側氏も党憲法調査会のテーマについて「まずはCM規制が中心だ」と述べるにとどめている。
(石鍋圭)