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新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの古典が人の口の端に上っている。ツキジデスの『戦史』、ボッカッチョの『デカメロン』、カミュの『ペスト』…。いずれも作中で正体不明の伝染病を描いている。先行きの見えないコロナ禍に不安を抱き、伝染病に直面した昔の人々の姿を追いたくなるのも無理はない。ドストエフスキーの『罪と罰』を読み返した人も少なくないだろう。
「全世界が、アジアの奥地からヨーロッパに広がっていくある恐ろしい、見たことも聞いたこともないような疫病の犠牲になる運命になった」(工藤精一郎訳)
『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフは小説の最終盤で悪夢にうなされる。疫病は人々を死に至らしめ、生き残った人は「強烈な自信をもって、自分は聡明(そうめい)で、自分の信念は正しいと思い込む」。その結果、人々は「罪のなすり合いをはじめて、つかみ合ったり、斬り合ったりする」ことになる。
ドストエフスキーが新型コロナを予言していたと考えるのは誤りだ。とはいえ、新型コロナがロシアの文豪を想起させるのは、アジアから欧州にウイルスが広がった点だけではない。
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