29日の東京株式市場で、前日の取引時間終了後に構造改革費用計上による巨額赤字決算を発表した日産自動車の株価が急反落し、前日比48円50銭(10・8%)安の400円90銭で取引を終えた。28日の株価は、三菱自動車、ルノーとの日仏3社連合として27日発表した協力計画が好感されて上昇した。だが、その28日に日産が発表した令和2年3月期の赤字額が大きかったことに加え、生産能力削減などの計画が今後の業績への警戒感を招いた。
内田誠社長が28日発表した2年3月期決算は11年ぶりの最終赤字で赤字幅は6712億円と、前会長のカルロス・ゴーン被告が改革を進めた平成12年3月期(6843億円の最終赤字)に次ぐ規模。同時公表の新中期経営計画で、海外工場閉鎖をはじめとする生産能力2割縮小など固定費削減を掲げた。
一方、日産が閉鎖に向けた協議を公表したスペインのバルセロナ工場をめぐり同国で28日、工場の従業員ら数百人がタイヤを焼くなどして抗議した。地元メディアが伝えた。
スペインのゴンサレス外相はロイター通信に対し、日産の方針は「遺憾だ。見直してもらうよう、あらゆる努力をする」と述べた。
日産は1980年代に同工場で操業を開始し、現従業員は約3000人。閉鎖により、関連企業など地元の2万人以上の雇用に影響が出るとみられている。
日産は世界での人員削減規模について「労働組合や政府機関と個別協議が必要で現時点では控える」(内田氏)としている。(今村義丈、パリ 三井美奈)