経団連の中西宏明会長は8日の定例会見で、脱炭素社会の実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量実質ゼロを目指すとした「チャレンジ・ゼロ」構想に、トヨタ自動車、日本製鉄、JXTGホールディングス(HD)など会員企業129社と8団体が参加すると、発表した。CO2を排出しない水素への燃料転換やCO2回収など、技術革新の取り組みを各社が表明したほか、環境対応などを重視する「ESG投資」など金融面での取り組み強化を示した。
経団連では、気候変動対策と経済成長を両立させるには、革新的技術の開発が欠かせないとしている。完全にCO2の排出をゼロにするのは無理だが、排出したCO2を地中貯留や、有効なものに変換することで、実質的にゼロにすることを目指す。
そのため、各企業の意欲的な取り組みを紹介し、さらに政府や各企業が連携することで、技術革新を加速化させる必要があるとして、チャレンジ・ゼロを進める。
具体的には日本製鉄が、製鉄工程で石炭でなく、水素を還元材とする技術への転換や、出光興産がCO2をメタノールに変換して有効活用することなどを盛り込んでいる。
脱炭素をめぐっては、政府が、令和22(2030)年度に平成25(13)年度比でCO2などの温室効果ガス排出量を、26%減らす目標や、今世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会を実現するとしており、経団連では、実現に向け民間の取り組みを加速させる。