会社の口座から約29億円を着服したとして、警視庁捜査2課は業務上横領の疑いで、東京都世田谷区深沢、ソフトウェア開発会社「エルピクセル」(千代田区)の元取締役、志村宏明容疑者(45)を逮捕した。
エルピクセルは、AIを活用した画像診断ソフトを製作している東大発のベンチャー企業だという。
逮捕容疑は同社の経理担当だった平成30~31年、会社名義の預金口座から現金自動預払機(ATM)とインターネットバンキングを通じて、自分名義の口座に計約29億4000万円を送金して横領したとしている。
捜査2課によると、横領した金の大部分は自身のFX取引に使われていたという。調べに対し「会社の資産運用の一環としてやった」と供述している。
同社は昨年12月、警視庁に被害を相談し、志村容疑者を解任した。発覚を免れるため、会社の預金通帳の写しを改(かい)竄(ざん)していたという。確認された横領額は約33億5000万円で、発覚前に約5億9500万円が返還された。
捜査2課は、志村容疑者が入社した29年4月の直後から、着服を繰り返していた疑いがあるとみている。