東京・世田谷の待機児童、全国最多から一転「ゼロ」に






 過去6回にわたり待機児相数が全国最多だった東京都世田谷区は、今年4月1日現在で一転して「ゼロ」を達成したと発表した。保育施設の整備などで定員を拡充し、国の定義に沿って待機児童の集計方法を見直したことなどが達成につながった。ただ、希望する園に入れなかったなどの「潜在的待機児童」は前年度比79人増の474人。区は希望通りの保育を実現する環境を整えるべく、さらなる対策を迫られている。(王美慧)

定員802人確保

 人口約92万人で都内で最多の同区は、就学前人口の増加などから、平成25~29年に5年連続で待機児童が全国の区市町村でワースト1位を記録。1千人台が3年間続いた。昨年は470人で再び全国最多となったが、わずか1年で待機児童ゼロを成し遂げた。

 「快挙」の背景には、大きく2つの要因がある。

 一つは、同区が昨年度に保育施設の整備などで定員を増やしたことだ。施設は14カ所増えて324カ所に、定員は新たに802人分確保して2万462人分となった(4月1日現在)。

 同区は毎年数百~数千人規模で定員の拡充に取り組んできたが、25~28年の間は就学前児童が毎年約1千人ずつ増え、「保育園を作っても待機児童の解消に至らなかった」(担当者)。近年は就学前児童の増加ペースが落ち着き、「定員拡充が大きな効果をみせた」と胸を張る。

育休延長目的除外

 もう一つの要因は、待機児童の数え方を変えたことだ。国の定義に応じて、区は今年の入園申請者から「育児休業延長を希望し、すぐに復職する意志がないケース」を確認し、待機児童から外した。

 通常1歳までの育休を最長2歳まで延長するには、入園申請をした上で、自治体から入園できなかった証明書をもらう必要がある。これまでは、育休延長を希望している保護者が入園を断られた場合も待機児童としていたが、入園希望の実需が見えづらく、正確な待機児童数を把握しにくい実態があった。

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