新型コロナで中国は消費喚起、インフラ投資が柱 景気対策の「後遺症」に警戒





中国は、経済立て直しに向けて5Gインフラ投資など矢継ぎ早に景気対策を打ち出している(AP)

 【上海=三塚聖平】世界で最も早く新型コロナウイルス蔓延(まんえん)による景気悪化に直面した中国は、経済立て直しに向けて矢継ぎ早に景気対策を打ち出している。

 重点は消費喚起だ。李克強(り・こくきょう)首相は5月28日の記者会見で、一連の経済対策で7割程度の資金は国民所得を支える用途に充てると説明し、「こうすることで消費を促進し、市場を動かすことができる」と強調した。

 規模が大きい自動車市場の刺激策として、中央・地方政府は新車の買い替えなどに補助金支給を進める。また、多くの地方政府は商品券の発行を通じた消費促進に乗り出しており、上海市で総額130億元(約2千億円)、北京市で122億元規模の発行が伝えられている。これまで規制されていた「露店」の出店緩和に動く地方政府も目立つ。

 もう一つの柱がインフラ投資で、その中でも「新基建(新型インフラの建設)」に力を入れている。第5世代(5G)移動通信システムや人工知能(AI)、高度道路交通システム(ITS)といった将来性が期待される新分野への投資を行うもので、中国各地では投資計画の表明が相次ぐ。

 ただ、過度なインフラ投資には慎重姿勢を見せる。2008年秋のリーマン・ショック後、中国は4兆元(当時のレートで約57兆円)の景気対策でV字回復を果たしたが、インフラや不動産の投資過熱をもたらして過剰債務などの構造問題が深刻化した経験がある。李首相は今回、「後遺症は残さない」と警戒感を示している。



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