トランプ氏、BRICS同調国に関税示唆 拡大する新興国グループに対抗姿勢

トランプ米大統領は6日、中国やロシアなどが主導する新興国グループ「BRICS」に同調する国々に対し、10%の追加関税を課す方針を表明した。この動きは、BRICSがブラジル・リオデジャネイロで開催した首脳会議で、一方的な高関税や保護主義を非難する宣言を採択した直後に行われた。トランプ氏は、BRICSの拡大と影響力増大に対する警戒感を示し、同グループに接近する国々への圧力を強める姿勢を見せた形だ。

トランプ氏、SNSで強硬姿勢

トランプ氏は自身のSNSアカウントに、「BRICSの反米政策に同調する国」に対して関税を上乗せすると投稿した。さらに「例外はない」と強調し、中国やロシアといったBRICS主要国に経済的あるいは政治的に接近する国々への明確な警告を発した。この強硬な姿勢は、BRICSが米国主導の国際秩序に対抗しようとする動きを強く牽制する狙いがあるとみられる。

BRICS首脳会議での反発

BRICS首脳会議は6日からリオデジャネイロで開かれ、採択された首脳宣言では、特定の国を名指しすることは避けたものの、「見境のない関税引き上げや保護主義は国際貿易の縮小を招く」と強く批判した。また、「貿易をゆがめる一方的な関税の引き上げに深刻な懸念を表明する」と明記し、米国などが取る保護主義的な通商政策への共同での反発を示した。

ブラジル・リオデジャネイロでのBRICS首脳会議にて、集合写真に応じる加盟国首脳ら。拡大する新興国グループの結束を示す光景。ブラジル・リオデジャネイロでのBRICS首脳会議にて、集合写真に応じる加盟国首脳ら。拡大する新興国グループの結束を示す光景。

BRICSの拡大と対抗軸

BRICSは現在、中国、ロシア、ブラジル、インド、南アフリカに加え、2024年から正式加盟したエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAEを含む10カ国で構成される。この拡大は、米国をはじめとする西側諸国への対抗軸を強化しようとする動きとして位置付けられている。BRICSは、南米や東南アジアなど、新興・途上国群である「グローバルサウス」への支援を打ち出すなど、影響力の拡大を図っている。また、貿易決済などにおける米ドル依存からの脱却を目指した共通通貨構想も議論されており、これもトランプ氏の関税示唆の背景にあるとされる。トランプ氏は過去に、BRICSが米ドル離れを進めれば「100%の関税を課す」と表明したことがある。

中国の反応

中国外務省の毛寧報道局長は7日の記者会見で、BRICSについて「チームを組んで(米国などに)対抗する枠組みではない」と従来の主張を繰り返した。その上で、米国による追加関税の方針に対しては「誰の利益にもならない」と述べ、方針の撤回を呼びかけた。これは、BRICSが単なる反米同盟ではないという立場を強調しつつ、トランプ政権の圧力に対する反論を行ったものとみられる。

BRICSの拡大と国際社会における影響力拡大の動きに対し、米国、特にトランプ氏が再び関税という経済的手段で圧力をかけ始めたことは、世界の経済秩序と地政学的対立の新たな局面を示唆している。

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