英政府 「移行期間」の延長拒否をEUに正式通告





英国のゴーブ内閣府担当相(AP)

 【ロンドン=板東和正】1月末に欧州連合(EU)から離脱した英国のゴーブ内閣府担当相は12日、英国とEUによる自由貿易協定(FTA)など新たな関係構築に向けた交渉について、年末としている期限を延長しない方針をEU側に正式に通告した。

 英EUは従来の経済関係を保つ「移行期間」にある。英EUは3月上旬に交渉を開始し、移行期間を交渉の期限としてFTA合意などを目指してきた。 しかし、両者は公正な競争条件の確保や漁業権をめぐって対立しており、交渉は難航している。EU側は交渉の時間をより長く確保するために、移行期間の延長に前向きな姿勢を見せていたが、早期の「完全離脱」を目指す英国側は拒否し続けていた。

 ゴーブ氏は自身のツイッターでも「われわれは来年1月1日に政治と経済の独立を取り戻すだろう」と発言し、移行期間を年内に終了する方針を強調した。英EUの離脱協定では、6月末までに双方が同意すれば、移行期間を2022年末まで延長できる仕組みだった。

 EU欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は12日、ゴーブ氏の通告を受けて、EU側が引き続き延長に前向きであると述べた。だが、ジョンソン英首相は15日に開催されるEUのフォンデアライエン欧州委員長とのテレビ会議形式の会談で、延長の拒否を改めて表明する見通しだ。英EUは6月末から7月末にかけて集中協議を実施する予定で、英政府は今後、交渉を加速させ、年内のFTA締結を目指したい考えだ。

 ただ、FTAの年内合意は困難とみられている。EUが過去に締結したFTAは交渉開始から発効まで平均約6年かかっており、年内の妥結はそもそも難しいとされていた。交渉期限を延長しないまま年内の合意が見送られれば、英EU間の貿易には世界貿易機関(WTO)の規則が適用され、関税が発生する恐れがある。 



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