河野太郎防衛相は15日、山口県と秋田県で進めていた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を停止すると発表した。イージス・アショアから発射される改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」は発射後、ブースター(推進エンジン)を分離させるが、これを周辺住宅などに落下させないためには大幅改修が必要と判明したため。防衛省で記者団に語った。
安倍晋三首相には12日に報告し、了承を得たという。今後は国家安全保障会議(NSC)に報告したうえで、閣議で正式に計画停止を決定する方針。
SM3ブロック2Aは日米両政府が共同開発中の最新鋭迎撃ミサイルで、陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)と山口県の陸自むつみ演習場(萩市、阿武〈あぶ〉町)への配備を計画していた。いずれの地元でも、ブースターは演習場内か海上に落下すると説明していた。
ところが、日米で検討を進めた結果、むつみ演習場でブースターを演習場内か海上に落下させるためにはソフトウエアだけではなく、ハードウエアの改修も必要であることが5月下旬に判明した。このため、開発費用・期間も当初予定を大幅に上回ることが見込まれ、計画停止もやむを得ないと判断した。
自衛隊はSM3を海上自衛隊護衛艦で運用してきた。地上配備は海自の負担軽減や迎撃の確率向上が狙いだったが、計画停止でミサイル防衛態勢の見直しを迫られる。