【北京=西見由章】中国当局が20日に概要を公表した「香港国家安全維持法」案をめぐり、中国の官製メディアは香港の「一国二制度」の長期的な継続を強調している。同制度の崩壊だとする香港市民や国際世論の批判をかわすとともに、中国が一国二制度による統一を呼びかけている台湾の世論も意識したものだ。
国営新華社通信は論説記事で、同法は「一国二制度の長期的な安定」に資すると主張。共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)も社説で「中国政府は一国二制度を真剣に守り続けることを望んでいる」とした。
香港で反政府デモが本格化した昨年6月以降、中国政府は同制度の「長期的な安定」を強調。香港の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官も今年1月に「一国二制度は長期的に安定し、2047年以降も変わらないだろう」と発言し、基本法で「高度な自治」が保障される期限の47年以降も継続されるとの見方を示している。