立憲民主党の枝野幸男代表は22日、新型コロナウイルス感染拡大で2月27日を最後に自粛していた地元・さいたま市での街頭演説を約4カ月ぶりに再開し、JR土呂駅前で「新しい政権をつくらなければならない」と通勤客に訴えた。
「ポストコロナ」の社会像として、過度な自己責任論からリスクを公平公正に分かち合う社会に転換すべきだと強調し、「政治の原点は街頭から直接、政策と活動を訴えることだ」と述べた。
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■2年9カ月前の「追い風」吹くか
立憲民主党の枝野幸男代表が22日に街頭演説に臨んだJR土呂駅前は、同党にとって“発祥の地”ともいえる場所だ。
平成29年9月28日、枝野氏が当時所属していた旧民進党は、翌月に控えた衆院選に一切の候補者を立てず、小池百合子東京都知事が率いた旧希望の党に候補者の公認申請をするという「奇策」を両院議員総会で粛々と了承した。この構想に距離を置いていた枝野氏は衆院選に無所属で出馬する意向を固め始めていた。
転機は翌29日だった。土呂駅西口で朝のつじ立ちを行っていた枝野氏は、通勤客らの無関心な反応に説明しがたい違和感を覚えた。
「今の政治の流れに疑問を持つ人は相当な比率でいる。何らかの地殻変動が起こりかけている」
5年の初当選以来、駅頭活動という「定点観測」を続けてきたと自負する枝野氏は、直感で察知した。
この日を境に枝野氏は新党結成へとかじを切る。
旧希望の党から「排除」を受けた旧民進党出身者らを中心に結成した立憲民主党は、「小池新党」を軸とする野党再編を疑問視する有権者らの支持を集め、野党第一党へと躍り出た。
あれから2年9カ月。立憲民主党をとりまく状況は様変わりした。