「新しい人生始まった」離脱から30年、義指作った元組員





元暴力団組員の男性(右)の左手小指に装着された義指=大阪市北区(恵守乾撮影)
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 九州在住の元暴力団組員の50代男性が今月、大阪市内の工房で組員時代に失った小指の義指を製作した。組を離脱して30年近く。元組員の烙(らく)印(いん)は、人生をやり直そうとする男性を苦しめてきた。「暴力団に戻ろうか」。そんな考えが頭をよぎったこともあるが、理解してくれる女性と家族を築くことができ、指を取り戻す決意をした。背中を押したのは、1歳になる孫の存在だった。

 「新しい人生が始まったような気分です」

 18日、大阪市北区。けがや病気などで失った体の一部を特殊シリコーンで製作する「工房アルテ」で、完成した義指を左手に装着した男性は笑顔を浮かべた。「頑張ってよ」。そばで見守る人工ボディー技師の福島有佳子さん(48)が、優しく励ました。

 男性は中学時代に両親が離婚。引き取った父親は、酒を飲むと男性を殴った。居場所を求めて不良仲間とつるんでいると、暴力団組員となった先輩が食事に連れて行き、3万~4万円の小遣いもくれるなど、親身になって面倒をみてくれた。「家庭にあこがれた」男性にとって、「親分」や「兄貴分」は家族のようだった。成人する前に船で九州を出て、先輩と同じ関西地方の暴力団に入った。

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