【ワシントン=塩原永久】米政府が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて実施した現金給付が、約110万人の死亡者に支給されていたと、米政府監査院(GAO)が25日、指摘した。給付額は14億ドル(約1500億円)に達するという。政府が支給を急ぐあまり、受給者リストから死者を削除する事務手続きがおろそかになったという。
米議会と政府は3月末、約2兆ドルの経済対策の目玉として、大人に最大1200ドル、子供に500ドルを配る現金給付を決めた。
GAOの調査報告書によると、担当した財務省と内国歳入庁(IRS)は、2019年の確定申告データをもとに、対象者の銀行口座に自動送金する手続きをとった。そのため、確定申告者のうち、現金給付時までに死亡していた人にも送金されてしまったという。
IRSは遺族らに返還をを求めている。GAOはIRSに対し、遺族らへ通知をコストをかけずに行うよう勧告している。
現金給付は5月末までに約1億6千万人に約2700億ドルが支給された。