損害保険大手のMS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)の社長に25日就任した原典之氏(64)は産経新聞の取材に応じ、今年度内に一般的なすべての保険商品に関する事務作業をオンライン化する方針を明らかにした。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務などのテレワークが増えていることも踏まえ、保険の申込書作成などの事務作業をペーパーレス化し、業務の効率化とコスト削減を図る。
顧客の契約プランに合わせた保険料の計算や申込書の作成などの事務作業をオンライン化する。さらに来年以降は自動車保険などで顧客が保険金申請後、相手方との交渉の経過などをオンラインで確認できる仕組みも構築する。原氏は「コロナ収束後も社内業務や顧客の非接触志向は続き、デジタル化はかなり進む」と指摘した。
また原氏は「世の中が変化するときに新たなリスクが生まれ、そこに適切な補償を提供することがビジネスチャンスになる」と強調。テレワークが増えたことでサイバー攻撃に備えた保険商品の4~5月の販売は前年同期比で2割増えているとし、今後は宅配サービスやロボットなどの活用で生じるリスクに備えた保険を開発するとした。
また、利益に占める海外・生保事業の比率を現在の46%から令和3年度までに50%に高める目標は、新型コロナの影響で海外事業の苦戦が続くと予想し、「目標を後ろ倒しにせざるを得ない」との認識を示した。