内憂外患の立民・枝野氏 問われる求心力 高知から地方行脚再開





支持者との会合で講演する立憲民主党の枝野代表=6日、高知市

 立憲民主党の枝野幸男代表は6日、高知市を訪れ、新型コロナウイルスの感染拡大で見送っていた地方行脚を再開した。5日投開票の東京都知事選では統一候補の擁立に失敗し、次期衆院選に向け国民民主党など野党勢力の結集でも主導権を発揮できずにいる。党運営をめぐっても執行部への風当たりは強く、内憂外患の状況だ。

 「次の衆院選でしっかりと政権の選択肢となっていかなければならない」

 枝野氏は6日、高知市内で講演し、こう強調した。衆院選では選挙区ごとに与野党が対決する構図を作り、与党を追い込む戦略を描く。ただ、共闘の試金石だった都知事選では統一候補の擁立を断念し、共産党などと元日弁連会長の宇都宮健児氏の支援に回った。

 皮肉にも野党の盟主として重い腰を上げたのは、れいわ新選組の山本太郎代表が出馬を表明してからだ。宇都宮氏の支援を「国政選挙並み」に引き上げ、自身もたびたび応援に入った。

 勢い余ったのか、投票当日の5日、ツイッターに自身の出身地の宇都宮市名物の餃子の思い出をつづり、「#宇都宮」と投稿。ネット上で「特定候補(宇都宮氏)を匂わせる不自然なツイート」と批判された。

 党内の「枝野1強」にも陰りが見える。昨年の参院選以降、国政選挙や地方選で取りこぼしが目立つ上、年初に頓挫した国民を含む旧民主党勢力の糾合も遅れているからだ。

 3月には山尾志桜里衆院議員が離党し、都知事選では須藤元気参院議員が離党を表明して山本氏を支援した。若手を中心に消費税減税に慎重な枝野氏への不満は根強く、「複数の立民議員が水面下で山本氏を応援していた」との指摘もある。

 今秋に初の代表選が予定される中、赤松広隆衆院副議長率いる党内グループは対抗馬擁立をちらつかせる。枝野氏が赤松氏のグループに所属する議員の地元の高知で地方行脚を開始したのも党内の結束を固めるためとみられる。赤松氏側近は「枝野氏の後は枝野氏でいい。だが、幹部人事の刷新が約束されないなら、こちらにも考えがある」と語った。(千田恒弥)



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