フランス 町長から新首相に 「首相消滅」の指摘も





手を振るカステックス仏新首相=3日、パリ(ロイター)

 【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領は6日までに、仏南部の町長だったジャン・カステックス新首相(55)の就任を発表し、組閣名簿が近く発表される。政治的重みのない「実務家首相」の起用は、「事実上の首相消滅」(ルモンド紙)につながるとの指摘もある。

 カステックス氏は、首都パリから900キロ離れた人口6千人の町プラードの町長。保健省や大統領府の役職を兼任した経験はあるが、国会議員や閣僚の経歴はない。政府の新型コロナウイルス対策で要職に起用され、マクロン氏が調整力を評価したとされる。

 カステックス氏は5日付日曜紙で、新内閣について「国民は政治家としてのふるまいを求めていない。私もそうだ」として、政治色を排した組閣を目指す方針を示した。マクロン氏がコロナ流行後の課題に掲げた経済や医療の再建、環境政策を進める意向も示した。

 首相就任に伴って、これまで所属してきた中道右派野党「共和党」を離党。マクロン氏の与党「共和国前進」にも所属しない。

 仏憲法で、内閣は「国の政策を決定、遂行する」役割を担い、国会に対して責任を負う。このため、保革二大政党時代、大統領は下院の多数派政党から首相を任命するのが慣例だった。

 だが、マクロン氏は、再選がかかる大統領選を2年後に控え、自身の政策を早急に実行する布陣作りを優先した。首相の地位の弱体化につながりそうだ。



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