2時間前、電話に「大丈夫よ」 熊本・芦北で犠牲の親子





堆積した土砂の上を歩く女性。手前は球磨川、奥はJR肥薩線=6日午後、熊本県芦北町白石(恵守乾撮影

 親子4代で仲良く暮らした空間、思い出の品、笑い声が絶えない日常-。熊本豪雨による土砂は、そのすべてを押しつぶした。熊本県芦北町で犠牲になった堀口ツギエさん(93)と娘の入江たえ子さん(69)、たえ子さんの息子で6児の父、竜一さん(42)。「絵に描いたような幸せな家庭」。近隣住民がそう口をそろえる一家の悲報に、周囲は深い悲しみに包まれている。(中井芳野)

 「休みの日は竜一さんとちびちゃんたちが洗車や散歩をしていて、水をかけあって遊んでいることもあった。その笑い声を聞くのが大好きだった」

 一家の隣に住む杉村ケイ子さん(73)は、つい数日前まで当たり前だった光景に思いをはせた。自身も被災し避難所に身を寄せるが、「あの声がもう聞けないなんて。竜一さんは本当に子煩悩で、残ったちびちゃんたちを思うと…」と涙を浮かべた。

 近隣住民らによると、竜一さんらが引っ越してきたのは約20年前。幼稚園から高校生までの娘6人を持つ竜一さん家族が母のたえ子さんと同居し、隣家には祖母のツギエさんらが暮らしていた。

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