米国のビーガン国務副長官兼北朝鮮担当特別代表が9日に来日し、外務省の秋葉剛男事務次官と会談した。日本が、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた入国拒否対象国から政府高官を受け入れるのは初めて。政府は感染対策の徹底を前提に実現した今回の来日をモデルケースとして、停滞する外交の再開につなげたい考えだ。
ビーガン氏は7~9日の韓国訪問後、9日夕に専用機で来日した。秋葉氏とは北朝鮮問題や国家安全維持法が施行された香港情勢などを協議。10日には茂木敏充外相や河野太郎防衛相らとも会談する。
日本は米国や韓国などに滞在歴のある外国人の入国を原則拒否しているが、「外交上の必要がある」(外務省)と判断して特例を認め、感染リスクを最小化する措置を講じる。
ビーガン氏は日本への入国時に感染の有無を調べるPCR検査を受けるほか、随行者の人数も絞り、入国後は訪問先や会談相手を限定。バスや電車などの公共交通機関は使用せず、米国大使館が手配する自動車で移動した。
秋葉氏との会談では飛沫(ひまつ)が届かないよう席を離し、会話にはマイクを使用。一方、入国者に求めている宿泊施設などでの14日間の自主隔離は「仕事に支障が出る」(外務省)として求めない。
欧米では既に首脳級の外交が再開している。日本ではビジネス目的に限定した往来が緩和され始めているが、今後は政府間の外交も徐々に再開する方針だ。