【北京=三塚聖平】中国自動車工業協会が10日発表した6月の新車販売台数は、前年同月比11・6%増の230万台だった。新型コロナウイルスの流行による影響が落ち着き、3カ月連続でプラスを達成した。中国各地で進んでいる経済活動の再開に加え、中央・地方政府による自動車の販売促進策が消費者の背中を押している。
伸び率は5月(14・5%)から若干縮小している。6月の内訳は乗用車が1・8%増で、商用車は63・1%増と大幅に伸びた。地方政府による販売促進策により「市場の状況が全体的に予想を上回った」と同協会は分析している。
今年1~6月累計の販売台数は前年同期比16・9%減の1025万7000台。協会は2020年通年の販売は、国内外の感染拡大が抑制される楽観シナリオで前年比10%減、海外で流行が続く悲観シナリオで20%減になる見通しを表明。従来の見通しは楽観シナリオで前年比15%減、悲観シナリオで25%減だった。それぞれ5ポイント改善させたものの、国内経済が弱含んでいることでマイナス成長になると見込んでいる。
メーカー別では、日系やドイツ系の好調が目立つ一方で、中国ブランドは苦戦している。買い替え時に下取り価格が高いブランド力のあるメーカーが消費者に選ばれていると指摘されており、メーカー間の競争が激しくなっている。
6月の日系自動車大手の新車販売では、トヨタ自動車、日産自動車、マツダの3社が前年同月比で3カ月連続のプラスを確保。トヨタは22・8%増と、2カ月連続で2割台の増加を達成している。
中国の自動車市場は、新型コロナの流行を受けて今年2月を中心に大幅な販売悪化に苦しんでいたが、政府の市場刺激策もあって回復傾向が続いている。ただ、足元で続く販売好調は感染拡大が深刻だった時期に消化しきれなかった需要がずれ込んで起きている側面があり、販売回復の勢いが弱まってきているという指摘もある。世界経済の悪化が中国経済に波及する恐れもあり、今年後半に向けて先行きを不安視する声も出ている。