ENHYPENソンフン ‘jap’発言の釈明が波紋広げる 差別批判と過去の炎上も再燃

7月7日、日本でも高い人気を誇るK-POPグループ「ENHYPEN」のメンバー、ソンフンが自身のX(旧ツイッター)アカウントで、自身の発言に関する炎上への「釈明文」を公開しました。この発言は、エンタメ界にとどまらず、社会的な問題として波紋を広げています。

[写真:人気K-POPグループ、ENHYPENのメンバー集合写真。今回の「jap」発言炎上騒動に関連。公式サイトより]
人気K-POPグループ、ENHYPENのメンバー集合写真。今回の「jap」発言炎上騒動に関連。公式サイトより人気K-POPグループ、ENHYPENのメンバー集合写真。今回の「jap」発言炎上騒動に関連。公式サイトより

一体、どのような発言が問題となったのでしょうか。ことの発端は6月中に行われたENHYPENの公式ファンコミュニティプラットフォーム「Weverse」でのファンとのリスニングパーティーでした。ファンとチャットで交流する中で、ソンフンが「Good job」と入力しようとして誤って「Good jap」と投稿したとされています。

この「jap」という言葉は、日本人を指す「Japanese」の短縮形ですが、非常に侮蔑的な意味合いを持つ差別用語です。歴史的に見ると、特に第二次世界大戦中には抗日プロパガンダの一環として用いられ、多くの日系人がこの言葉で罵倒され、差別の対象とされました。現在では国際的に広く差別語として認識されています。(社会部記者談)

問題の投稿はすぐに削除されましたが、この誤入力に対し、その場にいたジョンウォン、ヒスン、ジェイ、ジェイク、ニキといった他のメンバーたちが、笑いながら「jap」と繰り返したり、真似したりする様子が見られました。さらに一部のファンもそれに乗じるという悪循環が展開し、このやり取りのスクリーンショットが瞬く間に拡散。「日本人差別ではないか」という批判が殺到し、炎上へと繋がりました。

グループ唯一の日本人メンバーであるニキも、他のメンバーと一緒に笑い、煽るような素振りを見せたことから、批判の声はさらに拡大しました。ソンフン本人が主張する「誤入力」「タイプミス」という弁明に対しても、キーボード上で「a」と「o」、「b」と「p」は離れた位置にあるため、タイプミスとしては不自然だという見方が多く聞かれます。一方で、韓国語の発音では「job」と「jap」が似ているため、音をそのままタイプしたのではないか、という推測もあります。しかし、いずれにしても、メンバーたちが笑いながら面白がっているように見えたことから、「意味を分かっていてやっているのではないか」という厳しい批判が向けられています。

[写真:ENHYPENソンフン氏の「jap」発言に関する釈明・弁明のスクリーンショット。炎上を拡大させた対応。]
ENHYPENソンフン氏の「jap」発言に関する釈明・弁明のスクリーンショット。炎上を拡大させた対応。ENHYPENソンフン氏の「jap」発言に関する釈明・弁明のスクリーンショット。炎上を拡大させた対応。

ソンフンは前述の釈明文で、《リスニングパーティーの時、私が英語のスペルを間違えて書いたのが問題になりましたね。(中略)後でスペルが間違っているのを知って直したのですが、何の意図もなくスペルを間違えたのです》と説明。《心配してくださったエンジン(ENHYPENファンの総称)ありがとうございます。これからもっと注意します》とファンへの感謝と今後の注意を表明しましたが、差別的な言葉を使ったことや、他のメンバーが面白がったことに対する直接的な謝罪はありませんでした。この謝罪なき釈明が、かえって火に油を注ぐ形となり、さらなる炎上を引き起こしました。

X上では、ENHYPENの「jap」発言を差別だと批判する声や、それを「ジョークだ」「大したことない」と擁護する日本のファンへの疑問、グループに対する失望や怒りの声などが多く見られます。《ENHYPENが差別発言“jap”をわかってて言ってるの胸糞すぎるし、それをジョークじゃんって擁護してる日本人のKポオタやばすぎ…》《jap発言して爆笑するとかゴリゴリの差別だし、一生日本に来るな》《しっかりごめんなさいって一言はほしかったかな…。こんなことでまた炎上してほしくないし、掘り返して言われるのもENGENEとしてしんどいし》など、ファンの中にも、今回の件を単なる「ミス」や「冗談」として片付けようとする姿勢に対し、問題意識を感じている様子がうかがえます。

そもそもENHYPENは、過去にも日本に関連する炎上騒動を起こしています。2021年5月には、公式グッズのデザインに「日本のない世界地図」が使用され、大きな批判を浴びました。この地図は数時間後に密かに修正されましたが、批判殺到を受けて最終的に事務所が謝罪する事態となりました。また、2024年3月には、日本人メンバーのニキが韓国の祝日である3月1日(三一節、日本統治下の1919年にソウルで抗日独立運動が始まった記念日)に「休みで羨ましい」とコメントし炎上。「日本人がなぜ抗日運動の記念日を羨ましがるのか」という批判が韓国側から寄せられました。この時は事務所が即座に謝罪声明を出しており、韓国からの批判にはすぐに対応するのに、日本からの批判には謝罪しないのではないか、という指摘も今回の騒動で再燃しています。(前出・記者談)

ENHYPENはちょうど7月6日に東京・味の素スタジアムでワールドツアーの日本公演を開催したばかりであり、今後も日本での活動が予定されています。JR東海、サントリー、NBAなど、多くの日本企業がENHYPENを広告に起用しているため、X上ではこれらのスポンサー企業に対して、今回の「jap」発言に関する抗議や問いかけを行うユーザーも出てきています。《このまま起用し続けると、JR東海の信用がガタ落ちになるよ、それぐらいjapはまずい。》《このグループを使ってる媒体は全て差別を容認してるんすよね?サントリーさん!》《NBAは日本人差別を容認、推奨するということでよろしいですか?》といった投稿が見られます。

ツアー真っただ中にもかかわらず、なぜメンバーや事務所は明確な謝罪を行わないのでしょうか。ソンフン本人の「タイプミスや誤入力で押し切る」という姿勢、そしてメンバーたちの反応は、あまりにも不誠実な対応と映っています。今回の騒動は、当事者であるソンフンだけでなく、その場にいて一緒に面白がった他のメンバーたちも、差別用語を軽んじたことについて真摯に受け止め、しっかりと謝罪しなければ収束は難しいと見られています。(前出・記者談)

ENHYPENは8月8日から、日本の4都市(東京、愛知、大阪、福岡)を含む世界約40都市での初VRコンサートツアーも発表しています。今回の炎上騒動が、今後の日本での活動や、ツアーの動員に致命的な影響を与える可能性も指摘されています。

[出典] https://news.yahoo.co.jp/articles/f49553b721b60f72992eee35d4af4be3c2615343