コロナの「第2波」 テレビに〝備え〟はあるのか

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コロナの「第2波」 テレビに〝備え〟はあるのか


 新型コロナウイルスの感染拡大は首都圏を中心に再燃の様相を呈し、流行の「第2波」との見方も出てきている。今年前半のコロナ禍で、放送内容・スケジュールが大幅に変更され、リモート収録や再放送ドラマなどが多数見られたテレビ各局は、今後の感染拡大にどのように備えているのか。「コロナ禍前」の制作方法に戻ることはあり得ず、対策の“決定打”も見当たらない中、苦しい模索が続いている。  (文化部 兼松康)

再放送ずらり、影響続く中での備えは

 「逃げるは恥だが役に立つ」「ごくせん」「素敵な選(せん)TAXI」「野ブタ。をプロデュース」…。4月クール(4~6月放送)のドラマ枠には、ずらりと再放送が並んだが、今月に入ってようやく新作ドラマが出そろい始めた。

 テレビ各局は新型コロナウイルス感染拡大防止に対応した新たなガイドラインやマニュアルを取り入れながら、番組制作を再開している。それがそのまま、「第2波」への備えという位置づけだ。

 NHKは「新型コロナウイルス感染を防止するためのドラマ制作マニュアルについて」と題する文書を発表。コロナ感染を疑わせる症状があった出演者らは申告するといった基本的な事項のほか、出演者同士の距離は基本的に2メートル▽衣装などは使い回しせず、利用の都度、洗濯▽備品やドアノブなどは1時間に1回以上消毒▽メークなど道具は、個人ごとに専用のものを利用-といった付加対策を盛り込んだ。NHKの制作関係者は「現場にとっては時間も手間も非常にかかる対策だが、愚直にやっていくしかない」と話す。

 民放各局もガイドラインやマニュアルを作成。「(バラエティーでは)収録は安全を第一優先に、『3つの密』を避けた撮影を行う。専門家のアドバイスを受けた上で『制作ガイドライン』を策定」(テレビ朝日)など、感染予防とのバランスを取りながらの制作が続けられている。

シンプルに、古くて新しいもの

 だが、これらの対策は撮影・収録現場をクラスター(感染者集団)発生の場にしない、安全に保つといったものだ。社会全体が再び新型コロナの流行期に入った場合、放送内容やスケジュールをどうするかといった本質的な「第2波への備え」とはなり得ない。

 同志社女子大の影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論)は、感染対策と同時に、コロナ禍の中でも持続的に番組制作できる手法を考案すべきだと話す。「演出にいろいろな足し算をしすぎたのが最近のテレビ番組」と指摘し、シンプルな演出で見せる方法を提案する。例えば、「ラジオドラマはじっくり聞くと面白い作品がたくさんある。ラジオドラマのようなものに、(簡単な)画像などを絡めて見せるようなものはどうか。そうした古くて新しい作品も生まれてくるべきだろう」と話す。「第2波」の襲来で避けられないとみられる再放送も、名作の「再放送の権利」のクリアに局側の一層の努力が必要と指摘した。

 テレビ各局も無策だったわけではない。俳優が1人で収録し、それを編集して完成させるリモートドラマには各局が挑戦。NHKも5月下旬と6月上旬の2週にわたって、坂元裕二脚本によるリモートドラマ「Living」を放送した。

 だが、最初こそ目新しかったものの「単調な画面」は隠しようもなく、総じて低調に。影山教授も、厳しい環境下での制作だったことを考慮しつつも、「本当に素晴らしい作品ならばまた見たくなるが…。努力賞・敢闘賞かな」との評価にとどまっている。

バラエティーには新スタイル

 一方、バラエティー番組では「リモート収録」や、リモートを使った生放送のクイズなど、さまざまな収録手法、放送の仕方を生み出し、新たなスタイルが確立されつつあるようだ。

 「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」など、一般の人と触れ合うようなバラエティー番組が比較的多いテレビ東京では、「収録もリモートを使ってうまくやる状況ができている。制作担当者は新しいテレビの作り方をこの何カ月かで学んできた」(石川一郎社長)と、ある程度の手応えがあったことを明かした。

 この知見は一条の光ではあるが、放送全体でみると楽観はできない。フジテレビの石原隆取締役は、「(ドラマの枠は)ドラマを楽しみにされている可能性が高い枠。だから基本はドラマ(の再放送)がいいが、劇場映画をかけるなど、柔軟にアイデアを出していきたい」と語る。厳しい「第2波」では、新作の収録・放送が再び難しくなる可能性があることを示唆した形だ。テレビ各局には、リモートをはじめとする新たな手法をさらに磨き上げ、同時に、過去の名作や演出手法に“温故知新”を見いだすことが求められそうだ。

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