政府は9日、インフラ輸出に関する戦略を見直し、石炭火力発電所の輸出支援要件を厳格化して「相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする」と明記しました。
これほど明確な政策転換はありません。環境先進国である日本の逆襲が始まる。そんな思いです。環境相として昨年、国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で一身に批判を浴びた経験がものすごく大きかった。石炭政策の見直しは絶対にやるんだ。そういった思いで取り組んできました。
海外で脱石炭が急速に進む一方で、日本のエネルギー政策は平成23年の東京電力福島第1原発事故以降、思考停止に陥り、がんじがらめになって動けなかった。日本は5年連続で地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減を実現し、フロンガス対策でも先行していますが、日本の技術革新や企業の取り組み、国民の努力は、政府の石炭政策によって全てかき消されていました。
石炭火力の輸出厳格化は、ボウリングが真ん中のピンを倒さないとストライクを取れないように、「エネルギー政策のセンターピン」になった。海外にとどまらず、国内の非効率な石炭火力発電所も梶山弘志経済産業相のリーダーシップで令和12(2030)年度までに段階的に休廃止する方向になりました。日本=石炭と批判をされ続けることは二度と繰り返さない。
同時に、気候変動という地球規模の課題は日本だけが頑張っても解決できない。インフラ輸出の新戦略では東南アジアを含めた新興国に対し、脱炭素化社会への移行を支援する方針も決めました。日本は先進国として責任があります。