【しずおかこのひと】 副知事に就任した出野勉さん(67) 民間経験生かし「県民目線」行政を





出野勉副知事

 新型コロナウイルス禍で静岡県副知事に就任し、積み重なる県政の課題に取り組む出野勉さん(67)。富士山静岡空港会社の社長として民間企業で経営手腕を磨き、久々の県政運営に携わることになった。これまでの県職員時代の経験などを振り返りながら今後の抱負を聞いた。(小串文人、写真も)

 --副知事に就任されましたが、任命の話を初めて聞いたときの感想は

 「『えっ、何で私が』とびっくりしました。県を退職して富士山静岡空港に行って7年経過し、まさか県に戻るとは想像していませんでした。ただ、”最後のご奉公“というわけでもありませんが、38年間の県職員時代と民間企業での経験を踏まえたうえで県民のために何かできることがあればとの思いで引き受けさせていただきました」

 --県職員時代などを通じての苦労や業績など印象に残ることは

 「私が初代だった知事戦略監兼企画広報部長を最後に県を退職するまで、管理部門を長く務めました。その中で忘れられないのがグランシップ(静岡市駿河区、平成11年3月開館)の建設事業です。県政史上で最大の公共施設で、好きな言葉である『出会いと交流 ゆめ創造』をオープニングテーマに東静岡地区のにぎわいづくりを目指し、7年から企画を担当しました。全国の公立文化施設を視察しながら、コンサートなどイベントの施設の貸し出しなど利用方法の決定に取り組みました。利用者サイドに立ち、当時、全国の文化施設で初めてとなる『休館日なし(施設点検日は除く)』を決めました。それと、初日の出を見てもらうために施設を開放し、多くの人でにぎわって好評だったことが印象に残っています。その後も県立静岡がんセンターや静岡空港の仕事でも『患者さんのために』『利用者のために』というニーズに応えることが大事だということを信条に勤めてきました。これは変わることはないですね」

 --副知事には多くの担務があります。中でも気になる新型コロナウイルス対策や延期になった東京五輪・パラリンピックに向けた取り組みは

 「コロナ危機への対策としては過去にない5回の補正予算を組みました。経済関係の対策と両輪で着実に医療体制の確保に努めています。五輪については、最近の組織委員会幹部との会合で『県は1年延びたことをチャンスとして捉えている』と伝えました。開催することを前提に、もう一度機運を盛り上げるために1年前イベントなどの仕掛けを考えています」

 --尊敬する人物は

 「戦国時代や明治維新といった歴史小説が好きで、坂本龍馬のような時代の先を読む人物を尊敬しています。当時の日本を豊かにするため、龍馬のような政治ではなく通商を行った人物にひかれます」

 --現在、そして将来の県への思いと今後の抱負を

 「世界文化遺産の富士山をはじめ、日本一が数多くある静岡県はもっとPRが必要で、世界に広めるための県政運営に努めます。就任直後に幹部職員に話したことで、一番忘れてはならないのは『利用者目線、県行政では県民目線』。そして『迅速』『柔軟性』『大胆な発想』という思いを抱きながら県政に取り組んでいく決意です」

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 いでの・つとむ 昭和27年10月23日生まれ。50年に新潟大人文学部を卒業。同年4月に県採用となって以降、企画部秘書室長、知事公室長、文化・観光部長、知事戦略監兼企画広報部長などの要職を歴任。平成25年5月から富士山静岡空港社長を務め、同社参与や焼津市教育委員を経て今年4月19日に副知事に就任した。中学、高校時代は水泳の選手として活躍。静岡市出身。



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