芸能生活40周年を迎えた中山秀征さん(57)が、新著『気くばりのススメ 人間関係の達人たちから学んだ小さな習慣』を通じて、現代におけるコミュニケーションのあり方と人間関係の重要性について語りました。数々の人気番組でMCを務めてきた中山さんが、長年の芸能界での経験から培った「人から好かれる極意」を明かしています。
現代社会に広がるコミュニケーションの課題
インタビューに応じた中山さんは、ビジネスマンの間で「コミュニケーションを取るのが非常に難しい」という声が多い現状に触れました。頭脳明晰で仕事ができる人でも、会話が苦手という問題が増えているといいます。特に、同じ場所にいても対面で話さず、LINEなどのメッセージツールでやり取りを済ませてしまう傾向が、人とのつながりを希薄にしていると指摘します。これは「今話しかけたら迷惑ではないか」といった気遣いが、かえってコミュニケーションを避ける方向に向かわせているためだと分析しました。「顔を見て話す」「膝を突き合わせる」といった直接的な交流が失われつつある現代において、人との関係性を築く難しさが増しているのです。
芸能界で培われたアナログな交流術
中山さんは、ご自身の仕事である芸能界は、良くも悪くも人間関係の上に成り立つ「アナログな世界」であると語ります。人と人が直接関わり、信頼関係を築かなければ仕事が成り立たない世界だからこそ、コミュニケーション技術や気配りが非常に重要になると実感してきたそうです。今回執筆した本には、そうした芸能界で40年間にわたり第一線で活躍する中で学んだ、人間関係を円滑にするための具体的な技術や習慣が凝縮されています。現代社会で失われがちな「人とのつながり方」について、自身の経験をもとに実践的なアドバイスを提供しています。
テレビでもお馴染み、気さくな語り口で人間関係の極意を語る中山秀征さん
石原裕次郎から継承した「打ち上げイズム」
中山さんが芸能界で人間関係やコミュニケーションについて多くを学んだ経験の一つとして、1994年に出演したドラマ『静かなるドン』(日本テレビ系)でのエピソードを挙げました。このドラマは日活制作であり、主演の中山さんは「座長」として多くの打ち上げを企画したといいます。これは、故・石原裕次郎さんの影響が大きいとのこと。石原裕次郎さんは「みんなで酒を飲み、仲間になって同じ釜の飯を食う」という石原プロモーションのスタイルを非常に大切にしていました。中山さんは、その精神を受け継ぎ、ドラマの放送が1話終わるごとに打ち上げを実施し、全20回近く行ったと振り返ります。こうした頻繁な集まりを通じて、共演者やスタッフとの間に強い絆が生まれ、それが作品への取り組みにも良い影響を与えたと感じています。この「打ち上げイズム」こそが、人間関係を深め、チームとしての結束を高めるための重要な「気配り」の一つだと中山さんは語りました。
石原裕次郎さんから学んだ「打ち上げイズム」について熱く語る中山秀征氏
まとめ
中山秀征さんは、自身の40年間の芸能生活と、特に石原裕次郎さんから学んだ哲学を通して、現代社会で希薄になりがちな人間関係やコミュニケーションの重要性を改めて強調しています。新しい著書『気くばりのススメ』には、彼が実践してきた具体的な「気配り」の習慣や、人から好かれ、より良い人間関係を築くためのヒントが満載されています。直接的な対話やつながりが失われつつある今だからこそ、中山さんの経験に裏打ちされた人間関係術は、多くの人にとって価値ある示唆を与えてくれるでしょう。