【ワシントン=塩原永久】米大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は21日、経済政策の一環として、育児や介護の拡充に10年間で7750億ドル(約83兆円)を投じる計画を発表した。教育や介護分野で300万人の雇用を創出する。3、4歳児向け保育の無償化を打ち出し、女性を中心に子育て世代の有権者へ支持を訴える。
バイデン氏は東部デラウェア州で演説し、「家庭が気持ちの面でも金銭的にも圧迫されており、支援が必要だ」と述べた。子供の教育と親の介護の板挟みとなる「サンドイッチ世代」を支える政策を重視する考えを示した。
子育て支援では、低中所得層の世帯を対象に最大8千ドルの税額控除を適用し、家計の負担を軽減する。介護・福祉分野では、州政府への資金支援などを通じて在宅や施設での介護を受けやすくする。教育や介護の現場で働く労働者の賃金を引き上げ、待遇改善につなげるとしている。
財源についてバイデン氏は、不動産投資家向けの税制優遇を見直すなど、高所得者層への課税強化で賄う方針を示した。
教育や介護の拡充策はバイデン氏による経済政策の第3弾で、これまでに製造業の復活へ7千億ドル、環境投資に2兆ドルをつぎ込む計画を公表している。