トランプ氏 一転、マスクを奨励 大統領選前に信頼回復目指す  





マスクを手に記者会見するトランプ米大統領=21日、ホワイトハウス(AP)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は21日、ホワイトハウスで新型コロナウイルス対策に関する定例記者会見を約3カ月ぶりに再開した。

 トランプ氏は感染拡大を防ぐためのマスク着用について「他者とのソーシャルディスタンス(社会的距離)が保てない場合は着用してほしい」と提唱。同氏自身はこれまで着用に消極的だったが、感染者数が再び増加する中、この数日間で着用を積極的に奨励する立場に転じた。

 トランプ氏は「マスクが好きか嫌いかは関係ない。マスクは(感染防止に)効果がある。あらゆる対応が必要なのだ」と訴えた。

 ロイター通信の集計によると、米国ではこの日、1日の死者が千人を超えたほか、西部カリフォルニア州での感染者数が累計40万人を超えるなど、感染者、死者数ともに再び急増傾向にある。

 トランプ氏は「事態は良くなる前に恐らく悪化するだろう」と述べるなど、これまで経済再開を急ぎたい思惑から繰り返してきた楽観的な発言を封印した。

 同氏は「米国民の命を守るため、あらゆる手立てを取る」と語り、政権が「一丸となってウイルス撲滅に取り組んでいる」とも強調。治療薬やワクチンが近いうちに実用化されるとの見通しも示した。

 米国民が新型コロナ危機を「国内情勢で最大の懸案」と位置付ける中、トランプ氏はコロナ対策が「一貫性に欠く」などとして批判され、11月の大統領選に向け支持率で劣勢に立たされている。この日の記者会見では、危機に正面から取り組んでいく態度を示すことで信頼回復を図る狙いがあったとみられる。

 記者会見には、政権の新型コロナ対策チームの専門家は同席しなかった。



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