【連鎖の軛 児童虐待 介入の限界(1)】子供の幸せどう守る 児童相談所にのしかかる負担





児童相談所や警察は、虐待が疑われる家庭を訪れ、「介入」する。子供の命を守り、親を支援につなげるきっかけとなる(写真は本文と関係ありません、安元雄太撮影)
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 「お母さんに怒られ、ものを投げつけられた。家に帰りたくない」

 5月上旬、西日本の地方都市。顔にあざができた中学1年の少年は、声をかけてきた警察官にぽつりと話した。

 少年は直前に家を飛び出し、家族から行方不明届が出されていた。通常であれば家族に連絡し引き取ってもらう。だが、少年の話を重くみた警察は地域を管轄する児童相談所(児相)に通告。児相は少年を一時保護し、両親と面談を続けることを決めた。

 児相との面談で、母親は少年に手をあげたことを素直に認めた。きっかけは勉強時間をめぐる親子間のやり取りだった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校となっていた少年は、午前中は家で勉強すると約束した。だが一向に守らない。母親は仕事の休みが続き、ずっと家にいていらだちを募らせた-という経緯だ。児相は子供との接し方について両親にアドバイスし、約1週間で保護を解除した。

 新型コロナによって続いた非日常。少年を保護した児相では親からの相談が増えている。「子育てがしんどい」「子供が暴れるようになった」「職を失った父親が暴力をふるう」。ストレスによるものなのか。こうした声が届くたびに、常駐する警察官を交えて対応にあたってきた。

 ただ、声を上げる家庭は虐待の兆候がつかめる。だが、外出自粛や休校が続くことで家庭内の問題はどんどん潜在化してしまう。「新型コロナで新たな虐待の発見と状況確認がより難しくなった。本当に心配なのは表に出てこない家庭」と橋本信二所長(52)=仮名=はいう。

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