株価指数先物から商品先物まで、幅広い投資対象を一元的に取り扱う「総合取引所」が27日、日本取引所グループ(JPX)の下で始動した。総合取引所の実現は投資家にとってどんな意味があるのか。疑問点をまとめた。
Q 総合取引所が実現して、これまでと何が変わったの
A 従来、貴金属やゴム、農産物などの商品先物は東京商品取引所で、株価指数や債券の先物など金融分野のデリバティブ(金融派生商品)は大阪取引所で取り扱っていた。JPXによる東商取の子会社化を経て、27日に東商取から大半の商品が移管されたことで、大阪取引所でさまざまなデリバティブ取引ができるようになった。
Q 日本の取引所にはどんな課題があるの
A 東京証券取引所と大阪取引所は金融商品取引法、東商取は商品先物取引法に基づいてそれぞれ運営されている。監督官庁も金融庁と経済産業省・農林水産省に分かれる。取引に参加するには、それぞれ口座を開設する必要があり、投資家にとっては負担が大きい。多くの先物取引が大阪取引所に集約されることで、投資家の使い勝手が良くなる。
Q 商品デリバティブ市場は成長が期待できるの
A 国内の取引高は過去15年間で約6分の1に縮小し、昨年は1900万枚(1枚は最低取引単位)と低迷している。一方、世界全体の取引高は約10倍に増え、昨年は72億2100万枚。投資マネーの受け皿として成長し続けている。
Q 総合取引所の実現にどんな意味があるの
A 投資家は1つの口座で幅広いデリバティブ取引ができるようになる。金融分野の取引だけに参加してきた海外の機関投資家が商品デリバティブにも加わる可能性があり、日本市場全体の活性化も期待できる。