野党、臨時国会召集要求で揺さぶり 与党はコロナ対策優先で応じぬ構え 





会談に臨む立憲民主党・安住淳国対委員長(左)と自民党・森山裕国対委員長=29日午前、国会内(春名中撮影)

 自民党の森山裕、立憲民主党の安住淳両国対委員長が29日、国会内で会談し、安住氏は新型コロナウイルスの感染再拡大などを議論するための臨時国会を召集するよう求めた。政府・与党は新型コロナ対策に専念することなどを念頭に応じない構えだ。ただ、主要野党は30日に党首会談を開き、憲法53条に基づく召集を求める方針を決めて与党を揺さぶる考えで、攻防は激しさを増している。

 「国会を開会することこそが国民の望むところだ」

 安住氏は会談終了後、記者団にこう述べ、召集に否定的な与党側を牽制(けんせい)した。

 野党は観光支援事業「Go To トラベル」の迷走に加え、感染拡大防止の取り組みや、前法相の河井克行被告らによる公職選挙法違反事件なども追及したい考えだ。安倍晋三首相は正式な記者会見を通常国会閉会翌日の6月18日以降開いていないこともあり、野党として首相との直接対決を実現し、久しぶりの見せ場を作る狙いも透ける。

 もっとも、憲法53条は衆院か参院の総議員の4分の1以上が要求すれば内閣は臨時国会を召集しなければならないと規定するが、具体的な期限の定めはない。野党は平成27年10月、53条に基づき臨時国会の召集を求めたが、安倍内閣は年内の開会は見送り、翌年1月に通常国会を召集した。

 実際、森山氏は会談後、記者団に「(臨時国会を)何のために開くのか、はっきりしない」と述べ、早期の召集に否定的な見方を示した。通常国会の閉会後は、毎週新型コロナ対応に関連する委員会の閉会中審査に応じていることから、「政府の対応や考え方は国民にしっかりとお知らせできている」とも強調した。

 臨時国会で成立を急がなければならない法案も抱えておらず、自民党幹部は「日英両政府の新たな貿易協定がまとまったときに開けばいい」と指摘する。公明党の山口那津男代表も28日の会見で「要求があったから直ちに開会しなければならないということでは必ずしもない」と述べた。

 首相は新型コロナ対策に専念し、スキャンダル追及が目立つ野党の国会質疑は避けたい考えだ。野党側は閉会中審査への首相の出席も求めているが、自民党幹部は「各委員会で担当の閣僚がしっかりと答弁している」と述べ、応じない構えを見せる。(豊田真由美、大橋拓史)



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