水産庁は31日、8~12月の北海道道東沖から千葉県房総沖にかけての海域にサンマが来遊する量が昨年を下回るとの見通しを発表した。「来遊量は極めて低調に推移する」と指摘している。サンマ漁は8月から本格化するが、日本の漁獲量は昨年に続いて過去最低を更新する公算が大きい。秋の味覚の代名詞は、価格の高止まりが懸念される。
水産庁の委託を受けた水産研究・教育機構が6~7月に、来遊量を予測するための調査を実施。ただ、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で調査対象の海域を縮小するなどした。
体長30センチ前後で生鮮品売り場でよく見かける「1歳魚」については、「平均体重は昨年を下回る」とし、やせたサンマが多くなるとした。1歳魚の割合も昨年より低くなるとみている。
サンマは寒流の親潮に沿って南下するが、親潮のうち沿岸寄りを流れる海域では「漁場がほとんど形成されない」と指摘。日本の漁業者にとって漁場が遠くなる可能性がありそうだ。
日本のサンマ漁獲量は昨年に4万5800トン(速報値)と最低を更新し、ピークの昭和33年から92%減った。同機構の巣山哲主幹研究員は「漁獲量が昨年を下回る可能性はかなり高い」としている。店頭などで高値が続く恐れがある。
サンマは近年、不漁が続いている。資源自体が減っているのに加え、中国や台湾の漁船による公海での漁獲の影響も指摘される。また、サンマと同じエサを食べるマイワシが増え、サンマの分布域が狭まっているとみられることも逆風となっている可能性がある。