GoTo、また迷走 業者「あぜん」、制度に不備


 政府の観光支援事業「Go To トラベル」が再び混乱に陥った。

 大手旅行予約サイトで事前に配分された割引原資の給付金枠が不足し、割引を一時制限する動きが出た。政府は予算不足があれば追加配分できる仕組みを整え、再発を防ぐ方針。だが、事業をめぐる度重なる迷走に、制度設計の不備を指摘する声も高まっている。

 「正直、『あぜんとした』と言うほかない」。福岡県のある中堅旅行会社の幹部は、再三の混乱を嘆く。

 事業は当初からつまずいた。開始時期を8月上旬から前倒しした一方、新型コロナウイルス感染者が増加した東京都を急きょ対象から除外。事業者への周知期間は短く、現場は顧客への説明や月100件を超える運営事務局への書類提出に追われたという。9月15日までの割引支援額735億円は、予算総額の約5%。利用は伸び悩んだ。

 10月に東京が対象に入ると、今度は利用者の急増に伴い一部サイトが割引を制限する事態となった。政府は給付金枠の追加配分で解決を図る考えだが、予約の集中する大手との間で受け取れる給付金枠の差が広がりかねない。先の幹部は「現場ではあきれたという声が上がっている。(制度に)平等感はない」と打ち明ける。

 赤羽一嘉国土交通相は13日の記者会見で「大手に偏るという意図はない」と述べ、制度の不備を否定した。ただ、日本総合研究所の松村秀樹チーフエコノミストは「公平性に欠け、潤っているところとそうでないところが二極化する結果を招いている」と指摘している。 



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