新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えたこともあり、DIY(日曜大工)に注目が集まっている。思いのままにできるのが魅力だが、ひとり暮らしならなおさら。どんな部屋を作っているのか、それぞれの“城”を訪ねた。(服部有希子)
■豊中のガウディ…トモコさんの「作品」
大阪府豊中市の会社員、トモコさん(53)(仮名)の住まいは、築54年の団地の3DK。玄関を開けた瞬間から、温かみのある空間が広がった。キッチンはカフェ風で、カウンターは白いタイル張り。リビングには木材を組み合わせて作った障子戸から、柔らかい日差しが差し込む。いずれも自慢の自作品だ。
トモコさんは6年前、人生初のひとり暮らしを始めるのを機に、UR都市機構の原状回復義務のない「DIY住宅」を借りた。立地が良かっただけでなく、DIY住宅を紹介する冊子を読むうち興味がわいてきた。これまでカナヅチを持ったこともなかったが、契約後3か月間は家賃を払わなくてもよいという好条件も後押しし、「せっかくだから」とDIY住宅を選んだ。
壁紙張りから始めると、どんどんのめり込んだ。休日や仕事終わりは作業に没頭。キッチンは1か月、リビングの障子戸は2か月を費やした。失敗も何度もあった。作った椅子に座った瞬間壊れたときは、一人で大笑いした。
「自分の感性の思うままに、『自分好み』を再発見できるのが嬉(うれ)しい。自分と向き合うためのDIYです」。そして、「時間を気にせず作業できるのはひとり暮らしだからこそ」と話す。次は床を張り替えたいという。「完成も終わりもない。豊中のサグラダファミリアですよ」とほほえんだ。