【北京=三塚聖平】中国が、インターネット上の個人情報の取り扱いを厳格化する「個人情報保護法」の制定へ作業を積極化させている。個人情報の無断・違法取得を防ぐだけでなく、海外への移転に関する規制を強化するのが狙いだ。個人情報保護に関して中国に不当な措置を講じる国や地域に対抗措置を取るとも規定しており、ユーザー情報の流出リスクを盾に中国企業排除を進める米国を念頭に置いているとみられる。
全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が17日まで開いた会議で、個人情報保護法の草案の初審議が行われた。全人代常務委では法案について通常3回の審議を経て成立させている。
中国メディアによると、草案では個人情報の取り扱いについて十分な告知を前提として個人の承諾を得る必要があると定めた。収集した個人情報を海外に移転する場合は、国の関連部門の審査を求める。違反すれば最高で5千万元(約8億円)、もしくは前年の売上高の5%の罰金を科す重い処分になるという。
世界的にネットやデータが国家の競争力や安全保障を左右するようになる中で、中国は急ピッチで関連する法制度の整備を進めている。企業が収集したデータを国内で保存することを義務づけた「サイバーセキュリティー法(インターネット安全法)」を17年に施行。個人情報保護法に加えて、データ管理を厳格化する「データセキュリティー法」の制定に向けた作業も進めている。