(CNN) ドナルド・トランプ大統領にとって時間がなくなりつつある。トランプ氏は、世論調査で全国規模でも接戦州でも、民主党の大統領候補であるジョー・バイデン前副大統領にリードされている。現地時間22日に行われる大統領候補討論会はトランプ氏にとって選挙戦の流れを変える最後の機会だ。選挙戦は本選まで2週間を切り、バイデン氏が優位に立っているとみられている。
1回目の討論会は、トランプ氏が繰り返しバイデン氏の発言をさえぎり、司会を無視するなどしたため、そうそうに怒鳴り合いとなった。2回目の討論会は先週に予定されていたが、トランプ氏が新型コロナウイルス陽性となり、その後、オンライン形式で参加することを拒否したため中止となった。
大統領候補討論会委員会(CPD)は今回、両候補者による対面式での討論会の実施を認めた。しかし、ひとつ、前例のない変更を行った。両候補者は相手が最初の質問に答えている間、マイクはミュート(消音状態)となる。
90分にわたる討論会のテーマは、「新型コロナウイルスとの闘い」「米国の家族」「米国の人種」「気候変動」「国家安全保障」「リーダーシップ」の6つ。司会はNBCのクリステン・ウェルカー氏。
討論会で注目される点5つを挙げる。
トランプ氏は新しい規則を破るのか
CPDは討論会の規則を執行するため、ミュートボタンを頼ることにした。しかし、この新しい規則が実際に効果があるのかどうかは不透明だ。
新型コロナウイルスの感染が拡大
トランプ氏は新型コロナウイルスの話題は避けたい。しかし、選挙戦の勝利に重要な接戦州を含めて全米で新型コロナウイルスの感染件数が上昇しており、それは不可能だ。
ジョンズ・ホプキンス大学によれば、今月20日には新規感染件数が6万件を超えた。専門家は、新型コロナウイルスの「第3波」にあるとの見方を示す。
新型コロナウイルスは依然として有権者にとって重要な問題だ。トランプ氏が新型コロナウイルスに関する質問をどのように扱うかが選挙戦にとって重要な意味を持つことになりそうだ。
バイデン氏のもう一つの試験
今回の討論会はバイデン氏が越えなければならない最後の大きな障害だ。バイデン氏は失言で知られ、これまでも何度か小さいつまずきはあったが、2019年4月に選挙戦に出馬して以来、おおよそ同じメッセージを送り続けている。
選挙戦も残りわずかとなり、バイデン氏は、政権運営に関するいくつかの質問について、うまく回避する方策を見つける必要がある。バイデン氏が一貫して明言を避けているのが、一部の進歩派が押している連邦最高裁判所の判事の人数を増やすことについて支持するかどうかだ。
バイデン氏はトランプ氏の個人攻撃にどう対処するか
極右メディアのもう一つの世界では、バイデン氏は現在、醜聞にまみれており、最も注目を集めているのが、息子のハンター氏に関する証明されていない主張だ。トランプ氏が言及する「オバマゲート」という陰謀論もある。
もともとトランプ氏の支持層でない有権者には響いた様子はないし、ハンター氏への攻撃は裏目に出た。しかし、トランプ氏は必ず、こうしたことでバイデン氏を攻撃するだろう。
トランプ氏とバイデン氏は最後の言葉を誰に向けるのか
期日前投票が始まり、何百万人もの米国人が郵送で投票を行うなか、まだ態度を決めかねている有権者の数は数週間前よりもかなり少なくなった可能性が高い。
もっと当たり前の状況でさえ、討論会は、与えられた争点の討論で「勝つ」ための場所であるとともに、自身のメッセージを潜在的な支持者に向かって送る場でもある。
トランプ氏の最近の演説で明らかなのは、郊外の有権者や女性層からの支持が落ち込んでいるという世論調査を不安視していることだ。トランプ氏がそうした部分に訴えかける可能性は高い。
バイデン氏は主にアフリカ系や中南米系の有権者だ。そうした層からの支持で大きくリードしているが、クリントン元国務長官やオバマ前大統領が享受した水準には達していない。もし、バイデン氏が民主党の伝統的な支持層を活気づけられれば、より良い位置で選挙当日を迎えられるだろう。