財源確保や流通混乱の回避課題 暫定税率廃止で


【ひと目でわかる】1リットル当たりのガソリン税

 年内の廃止で合意したものの、税収減に伴う代替財源の確保や、流通現場の混乱などの課題解決は必須だ。

 ガソリンには、1リットル当たり28.7円の本則税率に加え、暫定税率と呼ばれる上乗せ分の25.1円も課税されている。軽油にも暫定税率が課されており、両方を廃止した場合、国で年間約1兆円、地方で同5000億円の税収減が見込まれる。

 これまで野党は税収の上振れ分などを充てるとしてきたが、「安定財源確保の見通しは全く立っていない」(財務省幹部)状況だ。全国知事会は7月30日、地方の減収の代替として、恒久財源の措置などを自民に要請した。

 流通現場の混乱回避も求められる。ガソリンスタンドは、暫定税率を上乗せした価格で仕入れた在庫を、廃止後に値下げして販売することになる。税還付には時間がかかるため、一時的な損失に備えた資金繰り支援も必要だ。廃止に伴う価格下落の前後で、買い控えや急激な需要増が発生する恐れもある。

 野党は、暫定税率廃止までに、現在ガソリン1リットル当たり10円を支給している補助金を段階的に拡充し価格を下げ、混乱を抑えると主張する。しかし実施には、これまで累計8兆円超もの予算措置を講じてきた補助金に、さらなる予算の上積みが必要となる。

 加藤勝信財務相は1日の閣議後記者会見で、「諸課題について解決策を見いだすべく、与野党合意に沿って真摯(しんし)に議論が重ねられていくものと承知をしている」と述べた。 



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