英国の科学誌「ネイチャー」の最新版に、米カリフォルニア州南部に生息する小さな昆虫、「コブゴミムシダマシ」が特集記事として紹介された。米空軍が800万ドル(約8億4000万円)の予算を投じている生物における特殊構造の研究成果のひとつで、体長が数センチしかない小さな昆虫が飛行機や建築物の構造を根本から変える可能性が示されている。
「コブゴミムシダマシ(Diabolical Ironclad Beetle」は自分の重さの3万9000倍もの圧力に耐えられる外骨格を持っており、鳥のくちばしにつつかれても、車に轢かれてもじっとしていれば自分を守れるという驚異的な能力を保持。進化の過程でほとんど飛べない代わりに得た特殊な能力で、AP通信によれば、これに目をつけた米パデュー大のパブロ・サバティエリ主任研究員(専門は土木工学)らが中心となって、その幾重にも組み合わさっている複雑な構造と体組成をCTなどを使って分析していた。
体重65キロの人間であれば、なんと2535トンの重量まで“無傷”で耐えている計算。サバティエリ研究員は「外骨格はとても硬くて、手ではがそうとしたができなかった」と語っており、この調査結果は航空宇宙産業などにも利用されることになっている。