南太平洋の島国パプアニューギニアに途上国を支援する政府開発援助(ODA)で建設していた学校の校舎が、連絡もなく取り壊されていたことが、会計検査院への取材でわかった。検査院は20日、外務省に対し、ODA実施時の現地確認などを徹底するよう求めた。
検査院によると、外務省は、北部マダン州にある約860人(9~14歳)が通う学校で、木造2階建て新校舎の建設を計画し、約800万円を学校に無償で提供した。
新校舎は2015年8月に建設が始まったが、施工上の問題で安全性が確保されていないことが発覚し、現地当局の命令で、16年12月に取り壊された。
現場は、日本大使館がある首都・ポートモレスビーから約500キロ離れており、飛行機とバスを乗り継いで1日かかる。大使館は毎月、学校から届く文書で進行状況を確認していたが、途中で報告が途絶え、学校関係者にメールや電話で問い合わせようとしたが、連絡がつかなかった。
最後の文書報告から約8か月後の17年4月になってようやく、学校関係者から取り壊しの連絡があったという。外務省の担当者は「まさか連絡もなしに取り壊されるとは思わなかった。今後は現地確認を行うようにする」と話している。