幼児4人を含む子ども6人と両親の8人家族。41歳の母親のほか、23歳の長女と1歳下の長男には知的障害があった。長男は問題行動で近隣トラブルが絶えない。母親と長女は、いつも2台の自転車で幼児らを連れてふらっと外出する。誰もが気になっていた家族にある朝、異変が起きた。三男(3)が腹痛を訴えて救急車で搬送され、そのまま亡くなったのだ。家の中は散らかり放題で、ごみ屋敷だった。家庭内で何が起きていたのか。捜査に乗り出した警察は3日後、長女を殺人容疑で逮捕した。(共同通信=真下周、斉藤彩)
▽3人が知的障害
「どないしたん!」。2019年4月2日昼ごろ、大阪市平野区内の一軒家で事件は起きた。近所に住む高齢女性は、玄関先で顔色を無くしてぐったりした三男を抱き、ぼうぜんと突っ立っている長女の金城ゆり被告に気付いて声を掛けた。ゆり被告は「腹が痛いって泣いてるねん。救急車を呼んでもなかなかこーへん」と答えた。自宅内からは「はよして!」と母親らしき人物が切羽詰まった様子で、どこかに電話をかける声が響いていた。