サムスン電子社長出身のスカイレイク・ インベストメントのチン・デジ 会長の宝物第1号は「コンピュータNeXT(ネクスト)」だった。1985年アップルから追い出されたスティーブ・ジョブズ氏が作った当時最高仕様のパソコンだ。李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン会長が1988年2台を韓国に持ち込んで1台は技術研究所に寄贈し、残りの1台は4MBのDRAM開発に成功した当時、サムスン電子のチン・デジェ理事にプレゼントとして与えた。チン会長は2015年ごろ、NeXTをサムスンに献納したが、一般人はこの製品を見ることはできない。創業者を追悼してグループの歴史が宿った物品を展示する公式「記念館」がまだないためだ。
最近、企業家に対する評価が再び行われるべきという声が高まっている。李会長の死去を基点に彼の業績と語録が広く知られ、追悼の雰囲気が広がった影響が大きい。だが、現実は容易でない。韓国のほとんどの企業は経済発展の過程で業績を残した創業者・トップのまともな記念・追慕館がない。
サムスンが代表的だ。創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル)初代会場の雅号にちなんだ湖巌(ホアム)美術館とアートホールはあるが、企業歴史を知らせて創業者をたたえる記念館はない。2017年第一毛織の跡地に作られた大邱(テグ)創造キャンパスにサムスングループの歴史を知らせる記念館「サムスンゾーン」をオープンする計画だったが足踏み状態だ。LGは釜山蓮池洞(プサン・ヨンジドン)の旧ラクヒ化学敷地の住宅街にク・インフィ創業者をたたえるヨンアムLG記念館をたてたが、一戸建て住宅水準の素朴な規模だ。現代創業者の牙山(アサン)チョン・ジュヨン記念館は別途の建物でなく、ソウル牙山病院の中に作られた。
まともな記念館を持っている海外企業とは全く違う。米シカゴには石油王と呼ばれるロックフェラー記念館が、日本名古屋にはトヨタの産業技術記念館が建てられている。ある大企業関係者は「韓国の反企業情緒がそれだけ根深いということを傍証する」と話した。創業者に対する否定的な世論を拡大させ、経済発展過程の「功績」を貶める一部の政界と市民団体によって企業が顔色をうかがうしかないという説明だ。
李会長死去以降反省の声が上がって雰囲気が変わっている。国民の力のハ・テギョン議員は26日、李会長葬儀室を訪れて「政府と国会が李会長のような一流企業家を尊重し、高く評価する社会環境を作るべきだ」とした。