世界貿易機関(WTO)は28日(現地時間)、「次期事務局長の決選投票で、兪明希(ユ・ミョンヒ)韓国産業通商資源部通商交渉本部長の競争相手だったナイジェリア元財務相のオコンジョイウェアラ氏の方が多くの票を得た」と発表した。このため、韓国人初のWTO事務局長誕生は今回、困難になったという見方が出ている。
韓国外交部によると、WTO一般理事会のデビッド・ウォーカー議長は同日午後3時(韓国時間午後11時)にスイスのジュネーブで行われた加盟国大使級会議で、「オコンジョイウェアラ氏の方が得票が多かった」と明らかにした。慣例上、正確な得票数は公表されていないが、複数の外交筋によると、WTOのメンバー164カ国のうち、半数(82カ国)を上回る96カ国前後がオコンジョイウェアラ氏を支持したという。
兪明希氏はこの結果を受け入れ、オコンジョイウェアラ氏を支持することが分かった。WTOは「コンセンサス」方式に基づき、両候補をめぐって分かれた加盟国の見解を最終的に調整し、来月9日の一般理事会で満場一致によりオコンジョイウェアラ氏を次期事務局長に推挙する見通しだ。これにより、オコンジョイウェアラ氏はWTO設立25年で初の女性アフリカ出身事務局長になる。
韓国政府は、「第2の潘基文(パン・ギムン=前国連事務総長)の奇跡」を生み出そうと、今回の選挙に外交力を総動員した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで約90カ国に対して電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴えるなど、総力戦を展開してきた。丁世均(チョン・セギュン)首相、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も積極的に動いていた。崔鍾建(チェ・ジョンゴン)外交部第1次官は同日まで中央アジア5カ国の駐韓大使に会って支持を訴えた。当初は韓国人をWTO事務局長にすることで国の格を高め、国際通商外交力を一層強化する契機にしようという構想だった。しかし、最終決選にあたり日本が背を向け、欧州連合(EU)27カ国もナイジェリア人候補を一斉に支持したことから、形勢不利になった。アフリカ外交に力を入れていた中国もオコンジョイウェアラ氏を推していたことが分かった。一方、米国は兪明希氏を選挙終盤まで支持したと外交消息筋は明らかにしている。