京都国際高校へのヘイトスピーチ:甲子園での差別投稿に京都府・市が法的対応

夏の全国高校野球選手権大会に出場した京都国際高校(京都府代表)に対し、SNS上で差別的な投稿が相次ぎ、社会問題となっています。同校が韓国系の民族学校をルーツとし、校歌に韓国語が用いられていることから、「朝鮮へ帰れ」といったヘイトスピーチが試合中継のたびに見受けられました。この事態を重く見た京都府と京都市は、8月20日までにヘイトスピーチ解消法に基づき、差別的と判断した6件の投稿について京都地方法務局へ削除を要請しました。

夏の全国高校野球選手権大会が開催される甲子園球場。京都国際高校への差別的投稿問題が注目を集めている。夏の全国高校野球選手権大会が開催される甲子園球場。京都国際高校への差別的投稿問題が注目を集めている。

問題の経緯と高野連の対応

京都国際高校は2004年に学校教育法に定められた「一条校」として認可され、現在は私立中高一貫校です。生徒の多くは日本人と報じられていますが、その歴史的背景から一部のインターネットユーザーによる根拠のない攻撃の対象となっています。今大会では、別の出場校における暴力事案がSNSで批判されたことを受け、日本高等学校野球連盟(高野連)は8月4日、選手や審判、大会関係者への誹謗中傷や差別的な言動に対し、「法的措置を含めて毅然とした対応」を取る声明を発表していました。しかし、京都国際高校に対する差別的な投稿は声明後も止まず、球児を案じる声や、高野連にさらなる断固たる措置を求める意見がSNS上で広がっています。主催者としての今後の対応が注目されます。

京都府・市による削除要請と過去の経緯

京都府人権啓発推進室の担当者によると、京都市と連携し「国に帰れ」「日本から消えてください」といった明確なヘイトスピーチとみられる6件の投稿に対し、京都地方法務局への削除要請が行われました。これは、昨年も7件の同様の投稿に対して削除要請が行われたことに続く措置であり、担当者は今後も法令に基づき対応を継続する意向を示しています。また、京都弁護士会も昨年9月、「京都国際高校へのヘイトスピーチを強く非難する」との声明を発表し、差別の解消に向けた社会的な取り組みの重要性を呼びかけています。

結論

甲子園という国民的関心の高い舞台で、特定の高校への差別的言動が繰り返されることは、社会全体の課題を浮き彫りにしています。高野連の声明、京都府・京都市による法務局への削除要請、そして京都弁護士会の動きは、ヘイトスピーチに対する社会的な許容度の低下と、毅然とした対応が求められている現状を示しています。このような差別行為がなくなるよう、継続的な監視と対策、そして社会全体の意識向上が不可欠です。

参考文献