大阪市4分割コスト試算「捏造」 市財政局 2日で一変、謝罪 市長面談後


 大阪市財政局の東山潔局長は29日夕の緊急記者会見で、市を四つの自治体に分割すると行政コストが現状より年間218億円増加するとした局の試算を撤回した。わずか2日前に毎日新聞の記事について「きちっと書いてある」と述べていた局長は「試算そのものがあり得ない」と見解を一変させた。「大阪都構想」の住民投票を3日後の11月1日に控え、市財政部門のトップは言いよどみながら、自らの試算を「捏造(ねつぞう)」と表現した。

【図解でわかる大阪都構想】

 「誤った考え方に基づき試算した数字を報道してもらったことで、報道各社や市民に誠に申し訳なく、深くおわび申し上げます」。午後5時半から始まった記者会見の冒頭で深く頭を下げた東山局長。中断を挟んで2時間以上に及んだ会見で、謝罪を繰り返した。

 会見によると、東山局長は29日午後、大阪都構想を推進する大阪維新の会代表の松井一郎市長と市役所本庁舎で20分ほど面談。事情を説明し、「公務員として捏造と評価されても仕方ない」と厳しく注意され、夕方の会見に臨んだ。

 市中枢の財政局が作成した試算は人口減の要素に限定し、それ以外の要素を加味しなかったために市長から「架空の数字」と指摘されたという。このような経緯を「捏造」とすることに報道陣からは疑問視する質問が相次いだ。東山局長は「当初はスケールメリットの参考になると思って算定したが、市長の指摘を受けて捏造だと認識した」と自身に非があると語った。

 都構想で設置される特別区の財政運営は11月1日の住民投票で市民の大きな判断材料になる。財政局は毎日新聞の取材に「需要額の試算は特別区のデメリットの一つの目安にはなる」と説明していたが、この日の東山局長は「当初は意味があると思って出したが、間違った方法で出したことに責任を取るべきだと思った」と説明。会見では質問に対して数秒間沈黙するなど、終始厳しい表情を浮かべて、謝罪を繰り返した。

 東山局長は、9月下旬に担当者が毎日新聞以外の報道機関から需要額の算出を求められた際、「『プレッシャーで何か出さなければならないと感じた』と話している」と説明。取材者による誘導があったとの認識を示したが、「不都合なことがあったら全て記者の誘導になってしまう」などと報道各社からは反発の声が上がった。

 ◇大阪市財政局長記者会見の主なやりとり

 大阪市財政局の東山潔局長が29日夕、市役所で緊急の記者会見を開いた。報道陣との主なやりとりは次の通り。

 財政局長 大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額の資料について、本日、市長に考え方を説明し、市長から厳重な注意を受けた。「世の中には存在しない架空の数字を提供することはいわば捏造(ねつぞう)だ。資料を提供した財政局のガバナンスの問題だ」と。(今回の試算は)いわば虚偽のもので実際はありえないものだという認識に、市長に説明した中で至った。報道各社や市民に誠に申し訳なく、深くおわび申し上げる。

 ――試算を「虚偽」とした評価の根拠は。

 財政局長 当初は人口段階のみの補正を適用することで算出した。ただ市長に説明した折、他の要素を捨象して算定するというものは交付税の実態の算出上考えられず、ありえない架空の数字だという厳しい指摘を受けた。

 ――今日、市長と話して計算をしたこと自体が間違いだったという認識に至ったのか。

 財政局長 そうだ。非常に簡略の方法で架空の数字を出す考え方自体が誤りだった。

 ――最初に取材対応した時、試算は意義があると思ったから答えたのか。

 財政局長 その数字はスケールメリット減の一つの参考になると。意味があると思って出した数字だからこそ、間違った手法で出したことに深く責任を感じている。

 ◇多角的に取材・報道

 毎日新聞は今回、大阪市財政局への適切な取材や提供資料に基づき試算を正確に報じた。

 試算は標準的な行政サービスの実施に毎年必要なコスト「基準財政需要額」について、大阪市を単純に四つの自治体に分割した場合に現在よりも約218億円増加するとの内容だった。市財政局の説明を受け、報道では大阪市を四つの特別区に再編する大阪都構想を前提にしたものではないことも明示。市財政局への確認作業や総務省、専門家への取材も重ねた。

 今回の試算を巡っては、都構想の制度案を議論する法定協議会で、自民党が同様の行政コストの公表を求めたが、最後まで算出されなかった経緯がある。

 報道は都構想の賛否を問う住民投票の告示後だったが、市財政局は毎日新聞の取材に対し、「4特別区の行政コストを考える一つの目安になる」と説明。特別区移行後の財政見通しは賛否両派の主要な争点になっている点を踏まえ、毎日新聞は有権者の判断材料になる有益な情報になると判断した。



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