10月から配布が始まった「Go To トラベル」の地域共通クーポンで、修学旅行生も対象となったことから世界遺産の島・宮島(廿日市市)の土産物店を中心に大きな経済効果が出ている。千円前後の土産物を「大人買い」する小中高校生が続出しているため。各店はおつりが出ないクーポンに対応し、千円単位のセット品を企画するなど売り込みに力を入れている。
【写真】地域共通クーポンが利用しやすいよう、千円のセットになった土産物
「修学旅行さまさま、です」。もみじまんじゅう店藤い屋の藤井邦深葉常務(70)は喜ぶ。昨年まで、修学旅行生は数百円の品を買うか買うまいか迷う姿が普通だった。「いまは違う。1箱千円のもみじまんじゅうを、5人くらいで来て5箱さっと買ってもらえる。1人当たり6千円分のクーポンを持ってきた高校生グループもあった。すごくありがたい」
表参道商店街では、修学旅行生を呼び込む店主の声が飛び交う。クーポンの額は旅行代金の15%(千円未満は四捨五入。1泊当たり上限6千円分)で、島内のある旅館によると、交通手段や宿にもよるが、小学生はだいたい1人3千円分、中学生で4千~5千円分になる。宮島と関西に連泊した高校生に1人1万5千円分が配られた例もあるという。「子どもにはすごい大金。しかも有効期限があるから、使うのも大変みたい」と50代の旅館支配人は話す。
1枚千円分のクーポンはおつりが出ないため、セット販売にして使いやすくする店舗もある。飲料店プリムベールは10月中旬、1個550円のカキの缶詰の消費税分を値引き、2個千円での販売を決めた。土産物店「九州屋」も同月、もみじまんじゅうやお好み焼きなどを組み合わせた11種類のセットを用意。本来の価格から40~200円値引き、千、2千、3千円で売っている。
九州屋の従業員上垣貴美子さん(85)は「島が活気づいてうれしい。でも、来島者はまだ本格的に戻らず、クーポンの配布が終わった後の売り上げの反動減が少し心配」と懸念する。