虐待から保護された後、児童養護施設などで十分な精神的ケアを受けられず、社会に出ても後遺症に苦しめられる人が目立つ。民間の調査では、施設などの出身者のうち治療やカウンセリングを受けられたのは4割弱にとどまり、生きづらさを感じる人は6割に上った。当事者らは施設退所後も専門的な治療が受けられる環境を求めて署名活動に取り組んでおり、厚生労働省も実態調査に乗り出す。
【グラフ】性的虐待の加害者の割合
「こんなに苦しむなら殺してくれた方が良かった」
大学生のはるひさん(22)=東京都=はそう漏らした。幼い頃、母親から殴る蹴るの虐待を受けた。風呂に沈められたり、真冬に裸で外に立たされたりしたこともある。小学2年の夏、児童相談所に保護され、20歳になる直前まで児童養護施設で過ごした。