愛知県内で平成29年、19歳の実の娘に性的暴行を加えたとして、準強制性交罪に問われた会社員の男(50)について、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は、被告側の上告を棄却する決定をした。男を無罪とした1審名古屋地裁岡崎支部判決を破棄し、娘が抵抗の著しく困難な「抗拒不能」の状態だったと認め懲役10年とした2審名古屋高裁判決が確定する。
【表で見る】児童虐待をめぐる経過
娘が同罪の成立する要件となっている抗拒不能の状態だったかどうかが争点だった。昨年3月の1審判決は、抵抗し拒めた時期もあったなどとして、抗拒不能の状態だったとするには合理的な疑いが残ると判断した。
これに対し2審判決は、娘が中学2年ごろから意に反する性的虐待を受けており、「継続的な性的虐待の過程で抵抗する意欲や意思をなくし、本件行為時、精神的、心理的に抵抗できない状態だった」と認定。1審判決は父親の実子に対する性的虐待の実態を十分に評価していないと批判していた。
1審の無罪判決をめぐっては、性暴力を撲滅しようと訴える「フラワーデモ」が各地で開催される契機となった。